それは売れる?売れない?


変えるチカラのネットワーク、について。

最近、よく考えるのは、売れる、売れない、のことです。

売れる、売れないは、なんで決まると思いますか。

そりゃ、その商品やサービスやコンテンツの善し悪しでしょ!!ふむふむ、半分賛成で、実は半分反対です。おいしいジュースとまずいジュースがあればどちらが売れるか、明白ですね。価格も同等なら、まずいジュースはどんなにがんばって広告を打っても、やがて市場から消えてなくなります。

音楽も、そうかもしれません。いい曲をいい歌手が歌えば売れます、たぶん。でも、この「いい」はリスナー個人の好みにだいぶゆだねられています。いい歌手の「いい」は、顔がいいの「いい」だったり、熱唱時の歯並びが「いい」だったりしますから。

そう、趣味性が高い商品やコンテンツほど、個人の尺度が大きく反映されます。評価の中心線がぶれ、ふらふらとしてくるのです。絵画とか小説とかになると、ますます売れる売れないの基準が、「あいまいもこ」としてきます。

僕が気になって仕方がないのは、ふたりのアーティストです。ひとりは、ゴッホ。ひとりは、宮沢賢治です。作品が気になるのではなく、なぜ彼らは「売れなかった」のか、ということがとても気になるのです。ふたりとも、なんて豊かなんだろうと驚愕するほどの神から愛された才能を持っています。しかし、なぜかしら、生前はまったく売れなかったのです。まったく。

例の成果主義的にいえば、数字の出ないヤツで、査定で言えば最低ランクです。

査定にたとえることもありませんが、まぁ、要は努力はすごくしているが結果が出ない人だったわけです。

よくこういう教科書的な意見が出ます。「あまりにも時代から進みすぎていて、当時の人からは理解されなかったのです。そして、現代はやっとその表現レベルに追いついて、今は高い評価を受けているのではないでしょうか」。

しかし、です。ピカソやアンディ・ウォホールやサルトルは、超・前衛で、見ても読んでも難解で、表現意図を計りかねたのではないでしょうか、初めて知覚した、当時の人々は。それでも、売れたのです。神に愛されるほどの才能を同じく持ちながら、ピカソのように巨大な邸宅に住んだ人間と、毎日をわずかなパンのみで生きていたゴッホのような人間との差はどこから生まれてくるのでしょう。

そんなことを考えていると、夜も眠れないのですが(笑)、僕はその違いはネットワークにあったように思います。もっと突っ込んで言うと「変えるチカラのネットワーク」です。

ピカソやサルトルで言えば、西洋文明の行き詰まりを打破しようとしていた「パリの知識人たち」であり、ウォホールでいえば、60年代のポップな革命を主導していた「ニューヨークの文化人」たち、です。そのネットワークが、チューブから新しい表現という絵の具を絞り出したのです。まだ少数派かもしれないが、確実に時代の流れを変えようとする人々の、思いの結集としてのコンテンツ。そして、変えるチカラのネットワークは、発達したマスメディアを取り込んで拡散して行ったわけです。純粋に芸術的な評価など、どうでもよく、何か激しく新しくインパクトがあることが必要だったと思うのです。

売れるためには、始めから「ネットワーク力」を駆使するというプロデュース方法もあります。今マーケットで売れているコンテンツのほとんどがその流れにのっているといっても過言ではありません。しかし、現代は「変えるチカラのネットワーク」がまだまだ不足している気がします。とりわけ、日本では。あいまいもこ、のまま、マーケットはゆるく揺籃したり、収束したりしている感じ。本当の売れる、ではなく、加工された売れる、な感じ。でしょうか。

さらに。

深く思うのは、ゴッホと賢治の「孤独」について、です。彼らの生涯を見ると、ネットワークから切り離されがちな境遇に置かれていたことに気付きます。変えるチカラのネットワークどころではなく。

しかし、その孤独を必死に乗り越えるエネルギーこそ、創作欲・表現欲であったことにも胸打たれます。不思議なことに、その孤独が、加工されていない「透明感」となって、現代の僕らに伝わってきます。

「下ノ畑ニ居リマス 賢治」。

僕らが人間らしく生きようとしてもがくとき、孤独な作家は、いつも僕らの近くにいて会いにおいでよ、と言っているような気がします。


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